個人事業主、自宅の減価償却費っていくら?

こんにちは、越谷市の税理士、恒川です。

個人事業主の方が自宅を経費にする場合、賃貸であれば「家賃×事業供用割合」と簡単なんですが、

持ち家の場合は「減価償却費×事業供用割合」となり、慣れない人だとちょとムムッとなります。

本日は、この「減価償却費」の出し方について解説します。

購入当初から業務として使っているんであれば、一般的な減価償却費の出し方と何も変わりません。

「元々持っていた自宅を途中から業務に使いだした。」というパターンの場合に、ちょっと計算が複雑になるので、本日はこちらのパターンにつき解説します。

業務に使いだした時点の価額を求める

まずは、「業務に使いだした時点の価額」を求めます。

通常の減価償却は「取得価額」が分かればOKなんですが、元々持っていた資産を途中から業務に使いだした場合には、

この「業務に使いだした時点の価額」というものを知る必要があります。

「業務に使いだした時点の価額は」次の式により求めます。

この赤字の部分、とっても分かりにくいと思うので具体例で考えてみます。

例)

 個人事業主

 取得価額 10,000,000円

 構造 木造

 取得年月日 令和2年2月1日

 業務に使いだした日 令和6年1月1日 

 (業務として使われていなかった年数3年11ヶ月→1年未満は切捨てなので3年

 木造(住宅用)の法定耐用年数は22年。

22年の1.5倍は33年。

33年の旧定額法償却率は0.031

ということは「業務に使いだした時点の価額」は下記の通り9,163,000円となります。

これが「業務に使いだした時点の価額」であり、償却限度額ということになります。

毎年の減価償却費を求める

建物の減価償却は定額法により行うのが決まりなので(令和6年11月現在)、通常であれば、

取得価額×定額法の償却率により減価償却費は計算されます。

ただ、今回のように「元々持っていた自宅を途中から業務に使いだした。」という場合には、最初に自宅を取得したときの償却方法に従います。

No.2109 新築家屋等を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却 参照

平成19年4月1日以降に取得した自宅であれば、今と同じ定額法でOKなんですが、それ以前の場合は旧定額法あるいは旧定率法により償却することになるので注意が必要です。

また、法定耐用年数は、業務として使いだした時点からの年数をわざわざ数えるようなことはせず、最初に自宅を取得した時点での法定耐用年数ですのでこの点も気を付けましょう。

具体的な計算式は次の通りです。

上記の例で、事業供用割合が30%だとすると、

つまり、138,000円が1年間の減価償却費ということです。

自宅を中古で取得していた場合

自宅を中古で取得していた場合、「業務に使いだした時点の価額」すなわち償却限度額は変わりませんが、毎年の減価償却費は変わる(ちょっと増える)可能性があります。

下記の通り、中古の耐用年数は新品の耐用年数に比べて短くなるからです。

なお、この「経過年数」とは新築等されてから取得したときまでの期間のことであり、業務に使いだした時点は全く関係ありません。

まとめ

今回、持ち家の減価償却にフォーカスして解説しましたが、資産は「建物」に限りません。

車であっても同じ考え方です。

経費化できる部分はもれなく計上し、きちんと節税しましょう。