会社を設立する方法vol3《手続き》
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設立前に決めることは、会社を設立する方法Vol1≪株式会社or合同会社≫、会社を設立する方法Vol2≪事前準備≫をご参照ください。
今回は、設立をする際の具体的な手続きについてまとめます。
準備するもの
準備するもの
法人印
「実印+銀行印+角印」or「実印+銀行印」
個人の印鑑証明書2通
(合同会社は1通でOK)
法人印は3~5万円程度でつくるかたが多い印象ですが、最近はそこまでお金をかけずに1~2万円程度のものにする方も増えています。
店頭でもネットでもOKですが、ネット注文される方が多いです。1週間くらいでつくれます。
個人の印鑑証明書は、定款認証の際に発起人(=株主)分1通、登記申請の際に取締役全員分各1通が必要です。
※株主=発起人ではない募集設立もありますが、手間と時間がかかるため、発起人=株主の発起設立が一般的です。わたしが携わった中で募集設立した会社はありませんので、発起設立を前提にすすめます。
株式会社の場合、株主=社長で、他に取締役がいないのであれば、社長個人の印鑑証明書が2通あればOKです。
合同会社の場合、定款認証は不要なので、登記申請の際に添付する1通だけあればOKです。
そして、役員(合同会社の場合は社員とよぶ)全員分の印鑑証明書を添付する必要はなく、代表社員の分のみあればOKです。
設立(登記完了)までの流れ
それぞれについて細かくみていきます。
定款作成
会社を設立する方法Vol1≪株式会社or合同会社≫、会社を設立する方法Vol2≪事前準備≫の事項を決めておき、さらに印鑑証明書を手元に準備しておけば比較的スムーズに作成できます。
(印鑑証明書の現物が必要なのは次の定款認証の段階なのですが、定款に記載する氏名や住所は印鑑証明書の通りに記載しなければならないので、この段階で手元にあるようにしましょう。)
日本公証人連合会のHPにひな形があります。
紙の定款は4万円の収入印紙が必要ですが、電子定款なら0円です。
今は電子定款が主流で、紙にする方はほぼいません。
定款認証
合同会社の場合、ここは不要です。
株式会社のみ必要になります。
電子署名された(あるいは収入印紙4万円分を貼った)定款を持って、本店のある都道府県にある公証役場で認証を受けます。
ここで、定款認証代(3~5万円)と発起人(=株主)の印鑑証明書(原本)が必要です。
資本金の払込み
資本金を発起人(=株主)の口座に振り込みます。
発起人(=株主)が複数いる場合は、誰かひとりを決めて、その人の口座に全員が振り込みます。
わざわざ新しい口座を作る必要はなく、既存の個人口座でOKです。
預入れ(入金した人の名前が分からない)でも問題はありませんが、出資者を明確にするため振込みにして名前が出るようにした方がよいです。
また、定款作成日は資本金の払込み日よりも「前」である必要がありますので、この点も気をつけましょう。
法務局に設立登記申請
登記申請に必要な資料は下記のとおりです。
登記に必要な資料
・設立登記申請書
・定款
・発起人会議事録
・就任承諾書
・取締役全員の印鑑証明書(原本)
・払込証明書
・資本金が払い込まれた通帳コピー
・印鑑(改印)届書
法務局のHPにひな形があります。
この時点で法人印と登録免許税(株式会社は最低15万円、合同会社は最低6万円)が必要になりますのて、ここまでに準備しておきま
しょう。
また、印鑑証明書(原本)も必要です。
提出は、窓口への持参・郵送・オンライン申請のいずれかです。
会社設立日は、
窓口へ持参の場合は、持参した日です。
郵送の場合は、消印の日ではなく法務局に着いた日、
オンライン申請の場合は、データが受理された日です。
設立完了
一週間程度で登記が完了します。
登記が完了しても法務局から連絡がくるわけではありません。
完了したかどうかを確実に確認したい方は、法務局に直接聞くか、法人番号公表サイトで社名を検索して確認します。
登記が完了したら、この後の各種届出や法人口座開設のため、登記簿謄本の取得・印鑑カードの申請・印鑑証明書の取得をします。
登記簿謄本は、後述する各種届出や法人口座開設の際に必要となりますので、2~3通とっておきましょう。
法人の印鑑証明書を取得するために、まずは印鑑カードをつくります。
印鑑カードは、登記完了後、法務局で申請をすればその場ですぐに作ってくれます。
出向くのが大変であれば郵送でも取得可能です。
印鑑カード交付申請書と返信用封筒を法務局に送れば、郵送で印鑑カードを取得できます。
印鑑証明書は法人口座開設の際に求められますので、この段階で1~2通とっておきましょう。
(各種届出には添付不要。)
設立後の手続き
じぶんで届出を出す場合、法人設立届出書だけを提出して「青色申告の承認申請書」を提出し忘れている方がたまにいらっしゃいます。
青色申告にすると、赤字が10年繰越せたり、少額減価償却資産の特例(30万円未満の備品を一回で経費にできる)が使えたりと特典がいっぱいです。
期限を1日でも過ぎると受け付けてもらえませんので、出し忘れないように気を付けましょう。
以前は、税務署への届出に「株主等の名簿」「設立時の貸借対照表」なども必要でしたが、今は不要となりました。
(随分と簡素化されました。)
以下の届出は必要に応じて提出します。
年金事務所への新規適用届ですが、ひとり社長で役員報酬0円なら、この時点での提出は不要です。
労働基準監督署及びハローワークへの届出は従業員を雇う場合必要になるものです。
誰に頼むか
これらの手続きを誰かに頼む場合、誰に頼んだらいいのでしょうか?
税理士?司法書士?行政書士?
会社の方向性によって誰に頼むか決めるといいでしょう。
設立後に税理士と顧問契約したいと考えている場合
税理士
設立後の顧問契約を条件に低い金額で請け負ってくれる事務所が多いです。
0円~5万円程度が多い印象です。
税理士にできない業務は外部の専門家に依頼するので、そこへの手数料くらいを請求されることが多いです。
専門家の目が入るので安心で、なおかつ手数料が低い、さらに、設立後の届出書までフォローしてくれるので、おすすめです。
税理士との顧問契約は考えていない場合
じぶんでやるor司法書士or行政書士
税理士と顧問契約するほどの規模ではない、ひとり社長であまり動きがないような会社であれば、税理士にこだわる必要はありません。
誰かに頼まなければいけないわけではないので、余裕のある方はじぶんでおこなってもいいでしょう。
さすがに最初から最後まで全部じぶんひとりで準備するのは、現実的でありません。
会計ソフト会社のfreeeやマネーフォワードがじぶんで会社設立できるツールを出していますので、じぶんで設立されるかたは、これらを利用するといいでしょう。(5,000円程度の手数料はかかります。)
顧問契約の予定はないし、じぶんでやるのは手間も時間もかかるし不安もある、という方は、司法書士や行政書士に依頼するといいでしょう。
(設立までのフォローで、相場は10万円前後です。)
税理士に依頼する選択もありですが、顧問契約がない場合はそもそも受け付けていないことが多いですし、仮に受け付けていたとしても、顧問契約ありに比べると手数料は高くなります。
まとめ
今は、じぶんで会社設立ができるツールが出てきましたし、届出に必要な添付書類も簡素化され、以前に比べると会社設立はとてもしやすくなりました。
ただ、会社設立はゴールではなくスタートです。
枠をつくることも大事ですが、本業がいちばん大切です。
設立後の本業がスムーズにおこなえるよう、自力で、あるいは専門家の力を借りつつ準備を整え、気持ちのいいスタートを切りましょう!