ETC、インボイスは?電子帳簿保存法は?

高速道路を使われている方の多くがETCを利用しているのではないでしょうか?

国土交通省HPによると、高速道路会社大手6社の全車平均利用率は実に94.3%。(令和5年8月時点)

国土交通省 ETC利用率(令和5年8月)

ほぼ、ですね。

本記事では、高速道路でETCを利用した際のインボイス対応、電子帳簿保存法対応について解説します。

利用証明書を1回ダウンロードすればOK!

まず大前提として、本記事は「簡易課税」「2割特例」「少額特例※」が適用できる方には関係のないお話です。
※1回の高速道路使用料が1万円以上になることはほぼないと考えられるので。

消費税を「本則課税」で計算し、なおかつ「少額特例」の対象にもならない方にのみ該当するお話なので、そうでない方はスルーしてください。

原則、ETCクレジットカードを利用した場合には、すべての取引につきETC利用照会サービスからダウンロードした利用証明書が必要です。

なんですが、頻繁に高速道路を利用する方にとっては、イチイチ利用証明書をダウンロードするのはかなりの手間で、現実的ではありません。

そこで、高速道路の利用頻度が高く、利用証明書のダウンロードが困難な場合は、

①「クレジットカード利用明細書」

②「高速道路会社等ごとに任意の一取引の利用証明書」

をあわせて保管しておけばOKということになっています。
(インボイス制度に関するQ&A問103「高速道路利用料金に係る適格簡易請求書の保存方法」参照)

①「クレジットカード利用明細書」は、紙で送られてくるか、データをダウンロードするかですが、ここは今までと変わらないので問題はないかと思います。

違うのは②「高速道路会社等ごとに任意の一取引の利用証明書」を取得しなければならない点です。

具体的には、「ETC利用照会サービス」というサイトがあるのでそこから利用証明書を取得します。

NEXCO東日本、NEXCO西日本など高速道路会社ごとに、どこか1回分の利用証明書をダウンロードします。

なお、この利用証明書の保存ですが、毎月1回、毎年1回とかではなく、令和5年10月1日以降で1回のみ保存しておけばOKとなっています。

よって、利用する高速道路会社が増えない限りは、1回取っておけばその後何もしなくてOKということです。

ただ、気持ち悪さを感じる人は、毎年(毎期)、初月に取得して保存しておくなど決めてしまってもいいかもしれません。

電子帳簿保存法的にもOK

インボイス的には

「高速道路会社等ごとに任意の一取引の利用証明書」

があればOKとの見解が示されましたが電子帳簿保存法的にはどうでしょう?

来年(令和6年)からは電子取引データは電子のまま保存しなければなりません。
(今は宥恕措置中)

よって、インボイス的にはOKだけど電子帳簿保存法的にはNGだから結局全取引の利用証明書が必要なんじゃ?とご心配の方もいらっしゃるかと。

結論を言えば、

インボイスと同様

「高速道路会社等ごとに任意の一取引の利用証明書」

をダウンロードして保存しておけばOKです。

ETCの利用証明書は、納税者が必要に応じて自ら検索条件を設定し、ETC利用照会サービスのウェブ上で発行してもらうものであり、必ずしも利用証明書の全てを納税者が受領しているものではありません。

そのため、利用証明書をダウンロードした場合は電子取引データを受領したものとして保存要件を満たす形での電子保存が必要となりますが、そもそもダウンロードしていなければ電子取引データを受領したとはいえず、保存義務の対象とならないから保存は不要になります。
(税務通信3777号2023年11月13日「令和6年以後のETC利用証明書の電子保存対応」参照)

まとめ

インボイス、電子帳簿保存法、いずれの観点からも「高速道路会社等ごとに任意の一取引の利用証明書」をダウンロードし保存しておけば大丈夫そうです。

なお、国税庁長官は「インボイス制度の税務調査について、記載事項の不備をあげつらうような調査はしない」旨の発言をしています。

記載事項の不備だけでなく保存についても同様の考えでしょうから、正直、ここまできちんと対応したところで確認さえされないのでは、と思っています。

とはいえ法律ですから無視するわけにもいきません。

あまり神経質にならず、構えすぎず、対応しましょう。