専門家の知識は何のため?
≪メニュー≫
■恒川洋子のプロフィール
■税務顧問
■会社設立・起業支援
■スポット相談
■相続税申告
お客様と話していると、税に関して勘違いや誤解があるな~と感じることが度々あります。
来年から書類はぜーんぶ電子で保存しなきゃダメなんでしょ?
先日、初めて面談した方との会話です。
Aさん「来年から書類はぜーんぶ電子で保存しなきゃダメなんでしょ?紙のレシートとかも。」
税理士「いや、そんなことないですよ!電子でもらったものは電子のまま保管しなければならない、という決まりはあるんですけど、紙でもらったものは紙のままでOKです!」
Aさん「えっ?そうなの?」
税理士「はい、電子帳簿保存法って大きく分けると3種類あるんですけど、絶対やらなきゃいけないのは、今言った、電子でもらったものは電子のまま保管するっていう、それだけ。
紙でもらったものをスキャンしたり写真に撮ったりしてデータ保管するっていうのは、スキャナ保存って言うんっですけど、これはやりたい人だけやればいい規定なんです。」
Aさん「そうなんだ~。じゃ、そんなに大変じゃないね。」
税理士「そうです、そうです。
紙が多くて大変だからスキャナ保存したい!っていう人なんかは挑戦してもいいと思うんですけど、本業やインボイス対応なんかで大変な人はスキャナ保存なんか考えなくて大丈夫です。」
Aさん「良かった~。」
税理士「ただですね、電子でもらったものは電子のまま保存ってやつ、単純にそのまま保管しておけばOKってなわけではなく、事務処理規定を作って、ファイル名をこうして、、、、」
このように、電子帳簿保存法を誤解されている方って結構います。
電子帳簿保存法の中には、義務として絶対やらなきゃいけない部分と、やりたい人だけやればいい任意の部分とがあるんですが、それを正確に理解している一般の方はとっても少ない。
でもそれってしょうがないと思うんです。
だって、電子帳簿保存法って専門家の目から見たってすっごく分かりにくいものだから。
(よくこんなものつくったな、って心の中で思ってます。)
巷に情報があふれかえっているので「電子帳簿保存法」という言葉は知っているものの、その内容については、難しすぎて、ややこしすぎて、「正確」に知っている一般の方はそこまで多くない、というのが実感です。
払った相手がインボイス登録してるかどうかの確認が大変?
電子帳簿保存法ほどではないにしろ、インボイス制度も分かりにくいですよね。
上述のスキャナ保存同様、じぶんに関係のないところまでやらなきゃいけないものと勘違いしている人が結構います。
よくあるのが次のパターン。(架空の会話です。)
Bさん「インボイス始まったからさ、支払先のインボイス番号いちいちチェックしなきゃいけなくって大変、、。」
税理士「あれっ、Bさんって今年会社つくったばっかりですよね?」
Bさん「そうだよ?4月に開業したばっかり!」
税理士「だったら、少なくとも今期・来期は2割特例ってのが使えるんですよ。2割特例っていうのは、受取った消費税の2割を納めればいいっていうものなんです。ってことは、払った方の消費税は一切気にすることは無いんです!」
Bさん「えっ!そうなの?」
税理士「そうです、そうです!大きな設備投資する予定とかないですよね?だったら、とりあえず今期・来期は払った相手がインボイス登録してるかどうかは気にしなくてOKですよ!
3期目以降どうなるかは今期の売上次第なんでまだちょっと分からないですけど、、、」
2割特例に該当する人以外に簡易課税を選択している人も、払った相手がインボイス登録しているかどうかの確認は不要です。
インボイス制度に関しては、他にもこんな勘違いもあります。
それは、払った相手がインボイス登録していないと「経費」にできない、というもの。
「経費」にはできるんです。つまり、所得税や法人税の計算をするうえでちゃんとひける。
インボイス前とインボイス後で何も変わりません。
ひけないのは消費税部分だけです。
まとめ
先日、税理士がTwitter上で、小規模な飲食店の領収書をアップし、その不備を嘲笑するようなコメントをつけていたのを目撃しました。投稿はすぐに削除されましたが、同じ税理士として、なんだか悲しい気持ちになりました。
専門家の知識って、人を馬鹿にしたり、嘲笑したりするのに使うものではなく、問題解決したり、人を助けるのに使うべきと思っています。
これからも、分かりにくい税金のあれこれを分かりやすく伝えられるよう取り組みます^_^