社宅家賃はいくらにすれば?事務所兼社宅の場合は?
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節税のため、自宅を法人名義にして社宅にしてしまおう!と考える社長さんは多いです。
本記事では、社宅制度を活用する際に気を付けるポイントや具体的な流れにつき解説します。
なお、社宅は賃貸だけでなく持ち家でもOKなんですが、法人名義での不動産購入は住宅ローンが組めないなどの理由から持ち家を社宅とする方が少ないため、本記事では賃貸を前提にはなしをすすめます。
名義を法人にする
社宅の場合、名義は法人である必要があります。
ですので、これから物件を借りようとする方は法人名義で申し込みをしましょう。
既に賃貸物件に住んでいる方は、法人名義に変更できるか否かをオーナーさんや管理会社に相談してみましょう。
名義変更不可だったり、再契約となり敷金等があらためて必要になるようなことも珍しくはありませんので事前に確認が必要です。
社宅としての適正家賃を算出する(概ね1~2割程度になることが多い)
社宅に住む人は、一定額の家賃を会社に支払わないと給与課税されてしまいます。
給与課税されるということは、個人の税金が増えてしまうということ。
よって、社宅制度を活用する場合は必ず一定額の家賃を個人で負担するようにしましょう。
この一定額の家賃は、概ね実際の家賃の1~2割程度になることが多いです。
計算が面倒だし、その計算に必要な金額を確認するための資料収集がこれまた手間なので、これまでの経験上、まじめに計算している会社は少ないです。
しかし、節税効果は大きいです。
多少の手間はかかりますが、きちんと根拠資料を集め正確に計算してみる価値はあります。
【固定資産税の課税標準額を調べる】
役員社宅の場合、規模により計算方法が3パターンに分かれます。
「小規模な住宅」
「小規模でない住宅」
「豪華住宅」
「豪華住宅」に該当する場合は、役員が賃料の全額を負担することになるので、何も調べる必要はありません。
「小規模な住宅」か「小規模でない住宅」に該当する場合には、「固定資産税の課税標準額」を調べる必要があります。
「豪華住宅」に該当するのは、原則、床面積240㎡超のかなり大きな住宅なので該当する方は少ないです。
「小規模な住宅」に該当するパターンがイチバン多く、次いで多いのは「小規模でない住宅」です。
「固定資産税の課税標準額」は①②のいずれかの方法で入手します。
①固定資産税課税明細書をオーナーさんからもらう。
②固定資産公課証明書(あるいはそれに類する書類)を市役所でとる。
①固定資産税課税明細書というのは、各市町村から毎年4月頃にオーナー宛てに送られてくる書類です。ここにオーナーがその地域で持っている不動産情報が全て載っています。
ただ、これをお願いしてふたつ返事で快く提出してくれるオーナーさんは少ないです。
社宅家賃を決める際「固定資産税の課税標準額」が必要であるという事実を知っている人って税理士以外ではほぼいません。
オーナーさんの立場に立ってみれば「なんでこの人はそんなことを知りたがる??」と不審に思うのも納得です。
そうするとやっぱり聞きにくいですよね。
よって現実的には②固定資産公課証明書(あるいはそれに類する書類)を市役所でとる、が良いと思います。
賃借人であれば、物件のある市町村役場で簡単に取得できます。
必要書類は地域によってまちまちですが、多くの場合、賃貸借契約書、法人印、があればOKです。
物件のある市町村役場のHPで確認するなり、問い合わせをするなりしてみましょう。
【計算式】
それぞれの要件、負担割合、計算式を一覧にしたものがこちらです。
なお、「小規模な住宅」に出てくる法定耐用年数は下記を参考にしてください。
よくあるのは「木造22年」「鉄筋コンクリート造47年」のふたつ。
木造なら床面積132㎡以下まで、鉄筋コンクリート造なら床面積99㎡以下まで「小規模な住宅」に該当するということです。
(おまけ)従業員の場合・・・
従業員の場合、規模による違いはありません。
従業員が負担すべき家賃は、役員の「小規模な住宅」で算出される賃貸料相当額の50%です。
(国税庁HP No.2597 使用人に社宅や寮などを貸したとき 参照)
事務所兼社宅の場合は✕70%
ひとり社長や小規模な会社の場合、事務所兼自宅という方も多いです。
自宅を社宅にすると、事務所兼社宅になります。
その場合の家賃はどうなるのか?
結論からいってしまうと、上記で算出した家賃×70%です。
自己負担額はかなり低くなりますね。
まとめ
「名義を法人にする」
「固定資産税の課税標準額を調べる」
というふたつの大きな手間はかかりますが、その分節税効果は高いです。
本記事を参考に、適正な手続きを行い、賢く社宅制度を活用してください。