相続税かかる?かからない?
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本日は相続税の基本的な部分についてのお話です。
令和3年の相続税の課税割合は9.3%です。
つまり、死亡者100人のうち9人は相続税がかかっているということです。
平成27年の基礎控除額の引き下げにより相続税がかかる人がぐっと増えました。
平成27年以前は約4%。今9.3%ということは倍以上です。
東京14.7%、名古屋11.9%と、
都市部だけに限ると課税割合はさらに高くなります。
そこで、
相続税がかかる人はどんな人か?
申告は誰に頼めばいいのか?
について解説します。
相続税がかかるのはどんな人?
遺産が基礎控除額以下なら相続税はかかりませんので申告は不要です。
まずは基礎控除額がいくらなのか?を確認しましょう。
まずは、法定相続人の数を知る
基礎控除額を計算するためには法定相続人が何人いるかを知る必要があります。
配偶者は必ず相続人となります。
配偶者以外の相続人は、第1順位から第3順位まであり次の通りです。
基礎控除額はいくら?
法定相続人の数が分かったら基礎控除額が分かります。
計算式は次の通りです。
そして、申告の要否・相続税の有無は次の通りです。
例えば、相続人が配偶者と子ども2人だとすると相続人は3人なので
3,000万円+600万円×3人=4,800万円
基礎控除額は4,800万円となります。
遺産が基礎控除額の4,800円以下なら相続税はかからないし、申告書の提出も不要ということです。
逆に、遺産が4,800万円を超えるようであれば申告書の提出が必要になります。
ただ、申告書の提出は必要ですが、相続税がかかるとは限りません。
相続税には様々な特例があります。
その特例を使うことによって、相続税がかからない人はたくさんいるのです。
令和3年実績でいえば申告書を提出した人のうち、相続税額ゼロ円の人の割合は約20%です。
特例って?
よくある特例はつぎの2つです。
- 小規模宅地等の特例
- 配偶者控除
小規模宅地等の特例とは、一定規模の宅地の評価額を50%~80%評価減できる特例です。
配偶者控除とは、配偶者の遺産総額につき1億6,000万円または法定相続分までであれば相続税がかからないという特例です。
いずれの特例も税額にかなりのインパクトがあります。
適用させることで税額がゼロ円になる方も多いです。
誰に頼めばいい?
申告の必要があるな、と分かったところでいったい誰に頼めばいいのでしょうか?
基本は税理士に依頼します。
ただ、絶対に税理士に頼まなければいけないわけではありません。
自分でしてもOKです。
実際、国税庁の発表によると15%前後の方はご自身で申告されています。
個人的見解としては、
「遺産が現預金だけ」あるいは「現預金と死亡保険金くらい」
という方以外は税理士に依頼することをお勧めします。
「遺産が現預金だけ」「現預金と死亡保険金くらい」であれば税務署に相談しアドバイスを受けたうえで作成すればそう間違うことはないでしょう。
相続税申告で一番難しいのは各種財産の「評価」です。
中でも一番大変なのは土地です。
土地の評価は、形や利用状況に応じて変わるんですが、これは税理士によっても差が出ます。
ご自身で正しい評価はするのはなかなか難しいものです。
あとは非上場株式。
亡くなった方が事業をしていた場合は非上場株式の評価が必要になることが多いんですが、
これを自力でするのは至難の業です。
そして「評価」の次に難しいのは「漏れ」です。
ご自身でやってしまうと、そもそも相続財産に入れるべきものを見落としてしまう可能性が出てきます。
名義預金・名義保険・過年度の贈与の状況・・・
税理士に依頼すると、財産に漏れが無いよう諸々確認してくれますから安心です。
なお税理士に依頼する場合は
「相続専門税理士」あるいは
「相続についてきちんと勉強している税理士」
を選びましょう。
相続と税務顧問(事業をしている人の申告をする)は全然別ものなので、
あえて相続は扱わないという税理士も多いです。
相続専門税理士の場合は経験値が豊富なので安心ですし、
専門とまではいわなくても相続情報を頻繁に発信しているような税理士であれば信頼はできます。
あとは相性も大事です。
相続は人生で一度や二度しかないイレギュラーなこと。
その気持ちをちゃんと理解して丁寧に説明・対応してくれる税理士を選びましょう。
税理士への報酬は遺産総額の0.5%~1%としているところが多いです。
少ない金額ではありませんから、嫌々頼むことはありません。
まとめ
「遺産は現預金と自宅だけ、小規模宅地等の特例を使えば税額はゼロ円。報酬がもったいないから自分で申告する!」と言っていた方が、結局途中で挫折して申告期限ぎりぎりで税理士に依頼することになった事例を知っています。
(当事務所への依頼ではありません。)
その方の場合、申告期限が迫っていたこともあって割増料金を取られた模様。
(申告期限間際の依頼は追加料金をとる事務所もあります。)
自力での申告に挑戦される方は、時間的・精神的に余裕を持った状態でのぞみましょう。