烏金

西條奈加さん著「烏金」で萬田銀次郎を思い出す

以前読んだ時代小説傑作選「わらべうた」で西條奈加さん著「烏金」を知り、先日読みました。

おもしろい!

何かに似ていると思ったら、ミナミの帝王。(竹内力さんが好きでDVD全部見てます。)

どちらも高利な金貸しが主人公。

債務者を追い詰めつつも、返済可能な方法を見つけ出し、結果、債務者を救ってあげるというおはなしです。

烏金の主人公・浅吉はミナミの帝王・萬田銀次郎をちょっと上品にした感じ(といってもやくざですけど。)

内容は下世話なはずなんですが、あこぎな感じはなく、全体的に人情味あふれるあったかい感じが漂っています。

烏金もミナミの帝王も、悪いやつを倒して債務者の人生を助ける、という流れになっているんですが、烏金のほうがより債務者の人生の立て直しに重きをおいている印象です。
(浅吉をコンサルタントと評しているレビューもあります。)

ミナミの帝王・烏金それぞれで印象に残ったセリフや会話をまとめたいと思います!

萬田銀次郎のセリフ

法律ゆうんは弱いもんの味方やない、知っとるもんの味方するんや!

トイチの身代金(34)

当時、なるほど~とものすごく納得したのを覚えています。

このセリフ、無慈悲でネガティブに聞こえますけど、強いものの味方でもお金持ちの味方でもなく、知っているものの味方っていうのはとてもポジティブなことではないか、と感じるのです。

法律に限らず「知る」ことは大切、と気付かされるセリフです。

ワシは借りてくれとは一度も頼んでまへんで。借りるときは調子ええ事言うて、返す時は鬼呼ばわりでっか。

金貸しの掟(50)

トイチのヤミ金なんで何がどう転んでも萬田はんが悪いんですが、借りるときは調子のいいこと言っておいて、結局返さず開き直るのっていかがなもんかな~ってちょっと思ってましたので(フィクションなんでね!現実世界ではヤミ金への返済は不要です!)、このセリフをきいたときは、そうだよね、と妙に納得してしまったのを覚えています。

頼みごとをするときだけ殊勝で、その後勝手に約束を破って開き直ることだけはしたくないな、と共感&自分への戒めにしたいセリフです。

烏金でのセリフ

「勝平が仲間に入れたがってる奴がいんだ。けど、そいつはずっと鼻にも引っかけね」

「どんな奴だ?よほど役に立ちそうなのか」

「それは大人の考えだろ」

いきなり頬を張られたような気がした。己の反吐に塗れた雑巾が、鼻先にぶら下がる。

元々すりで生活をしていた孤児達が浅吉の導きで商売を始めるようになり、新たに仲間を加えるため浅吉に相談したときのやりとりです。

相談した孤児の純粋な感想も、浅吉の素直な意見もどちらも分かる!

わたしはいま来年4月の独立に向けて準備中です。

このセリフを読んだとき、最近人と会うとき無意識に、「この人、わたしの仕事の役に立つかな?」と考えていた自分に気付いてちょっと恐ろしいなと感じました。

人となりより先に、自分にとって役に立つか立たないかを無意識に考えている。

商売なんで人がいいだけではできないのは当然なんですけど、自分の役に立つか立たないかだけで人を判断したり、役に立ちそう→よく知りたい、という順番はなんだか人として魅力がないなと感じるので気を付けたいところです。

利を出すためには、死に物狂いでここ(頭)を使わなけりゃならねえぞ

わたしの大好きな小説「あきない世傳金と銀」でいうところの“知恵を絞る”という考えと同じかと。

やっぱり商売には知恵が大切なんですよね。

たくさん本を読んだり人に会ったり話をきいたり現場を見たりして、いろんなことを知ったうえで頭を使う(知恵を絞る)ことが大切なんだよな、とあらためて思いました。

たくさんインプットしてその経験や知識をもとに頭を使って知恵を絞って活躍されている方々をみると、自分もそうありたいと強く思います。

とはいえ、ちょいちょいさぼる性格なので、そうずっとこのテンションは維持できず。。

自分のペースを大事にしつつ、頭も使いつつ仕事に取り組んでいきたいです。

まとめ

お金についてのおはなしって、小説でも映画でもドラマでも漫画でも、人間の虚栄心・愚かさ、はたまた強さ・豊かさなんかが知れておもしろいです。

ミナミの帝王、久しぶりに見たくなりました( ^^)