通達に法的拘束力はない
≪メニュー≫
■恒川洋子のプロフィール
■税務顧問
■会社設立・起業支援
■スポット相談
■相続税申告
税理士は、法律以外に国税庁が出す通達(法令解釈通達)を参考に税務判断をすることも多いです。
しかし、この通達に法的拘束力はありません。
通達とはなにか?
法的拘束力(法源といいます。)とは何か?
について今一度確認しておきます。
法源とは?
法源とは、法律学小辞典によると次のように説明されています。
…法を適用するにあたって法として援用しうる法形式、特に裁判官が判決理由でそれを援用して裁判の理由となしうる法形式を意味する。
法律学小辞典
成文法と不文法があり、前者は憲法・法律・命令など、後者は判例法・慣習法・条理などです。
ここに通達は含まれません。
通達とは?
では、通達とは何でしょう?
各大臣、各委員会・各庁の長がその所掌事務に関して、所轄の諸機関や職員に速達する形式の一種。…法令の解釈や運用方針に関するものが多く、いわゆる”行政規則”の性質をもつ。形式上は国民や裁判所を直接拘束するものではないが、法令の有権解釈として行政実務上重要な地位を占めている。
法律学小辞典
つまり通達は、
「行政機関内部の命令であって外部に対して影響を与えるものではないが、
実務上は有力な解釈として重要視されている。」ということです。
まとめ
会計事務所に勤務したての若かりし頃は、通達が法源ではないことを知らなかったので、
法律と全く同じ位置づけでとらえ参考にしていました。
10数年たち、通達は法源ではないと知った今はどうか?
当初と変わらず、税務判断をする際の参考にしています。
通達は法源ではないので、通達に反する解釈を主張することは理論上可能です。
実際に、通達を否定した裁判例もありますし。
しかし、実務上、通達は有力な解釈として重要視されていますし、税務調査時には通達に拘束された税務署職員に対応しなけばならないので、法的拘束力がないからといって全く無視することはできないのが実情なのです。
とはいえ、根拠のはっきりしない通達はあるものです。
税理士である以上、「通達に定められているから盲目に従う」のではなく、自ら条文に基づいた解釈をおこなうことは癖付けておきたいものです。