独立2年目税理士のリアルな節税とは?
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こんにちは、越谷市の税理士、恒川です。
昨年4月に税理士として独立し、もうすぐ2度目の申告です。
1年目はギリギリ黒字だったので節税の心配などする必要はなかったんですが、今年はありがたいことに考える必要が出てきました。
普段、顧問先には「これをやった方が良い」「あれを検討してみましょう」と節税対策を提案する立場にあるんですが、今回はじぶんが実際に取り組んだ節税について書いてみます。
小規模企業共済
個人事業主や小規模な会社の社長がする節税といって真っ先に思い浮かぶのが「小規模企業共済」。
掛金が全額所得控除になるのでかなり大きく節税できます。
将来への積み立てをしつつ、税金が抑えられるという優れもの。
受け取るときの税金も優遇されているので、個人事業主の方、小規模な会社の社長さんには真っ先にすすめています。
掛金は月額1,000円~70,000円の範囲内で(500円単位)自由に設定可能。
MAXでかけると月7万円×12ヶ月=84万円なので、84万円×税率だけ税金が減ります。
結構なインパクト。
なお、掛金は、月払い、半年払い、年払いの3パターンから選べて、「支払った」年の税金が減ります。
わたしは12月にMAXの月7万円で加入し1年分を前払いしました。
委託団体によって締切日が違い12月は早目に締め切っているところが多いんですが、金融機関であれば年末ギリギリまで営業しています。
12月になって加入を検討している方は金融機関での加入がおススメです。
小規模企業共済については以前も記事にしてるのでよろしければ参考にしてください。
ふるさと納税
次にふるさと納税。
厳密には節税ではなく税金の前払いなんですが、自己負担2,000円で返礼品がもらえるお得な制度なので利用してます。
大体頼むのはお米、肉、海鮮、果物などの食料品が多いんですが、今回はハンディアイロンも頼んでみました。
アイロンがけって面倒でなかなかしないんですが、ハンディアイロンならするかな、、、と思い。
お金出して買うのはちょっと考えるけど、あったら嬉しいなってものを選ぶのも楽しいです。
なお、こちら2年前の記事にはなるんですが、ふるさと納税をするときの流れやポイントなんかがまとめてありますので、よろしければご覧ください。
ChatGPTはなんて?おススメしないのは?
ChatGPTに「個人事業主ができる節税を10個教えて」と聞いたら、以下の10個を上げてくれました。
1. 青色申告の活用
- 青色申告を行うことで、最大65万円の控除が受けられます(複式簿記の場合)。
- 家族への給与を必要経費として計上できる「青色事業専従者給与制度」も利用可能。
2. 経費の見直し
- 事業に関連する支出は経費として計上できます。家事按分や消耗品費、会議費、交際費など、適切に記録することが重要。
3. 少額減価償却資産の特例
- 30万円未満の資産を購入した場合、一括で経費計上が可能です。年300万円までが対象。
4. 小規模企業共済の加入
- 掛金は全額所得控除の対象になります。将来の退職金や経営安定に備えながら節税も可能。
5. iDeCo(個人型確定拠出年金)の利用
- 掛金が全額所得控除になるため、将来の年金準備をしつつ所得税と住民税を軽減できます。
6. 倒産防止共済(経営セーフティ共済)の活用
- 掛金が全額経費として計上できます。取引先の倒産リスクに備えつつ節税が可能。
7. ふるさと納税の活用
- 実質2,000円の自己負担で、所得税と住民税の控除が受けられます。
8. 生命保険・地震保険料控除
- 生命保険や地震保険の保険料を支払うと一定額が控除の対象となります。
9. 事業用資産の購入タイミング調整
- 年内に事業に必要な物品を購入し、経費として計上することで課税所得を圧縮。
10. 住宅ローン控除
- 自宅兼事務所の場合、住宅ローン控除を受けられる可能性があります。事業利用割合を適切に按分して申告することが必要。
ある程度納得な回答が多いんですが、個人的におススメはしないのは、「6.倒産防止共済(経営セーフティ共済)の活用」。
倒産防止共済というのは、連鎖倒産防止のための制度ではあるんですが実際には掛金が全額経費になることから「節税商品」として認識されています。
掛金の上限は月20万円で、こちらも小規模企業共済同様に年払いが可能。
ということは、12月に加入して1年分を前払いすれば、MAX240万円経費が増えるということです。
小規模企業共済以上のインパクトですよね。
ただこれ、法人の場合にはものすごくおススメするんですが、個人事業主さんにはあまりおススメしません。
理由は出口戦略が難しいから。
分かりやすく言うと、解約してお金が戻ってきたときの税金が心配だからです。
倒産防止共済は解約したときに、全額、事業所得の「雑収入」として計上する必要があります。
小規模企業共済のように解約時に税金が優遇されるなんてことはありません。
法人であれば、赤字のときに解約するとか、退職金とぶつけることによって解約時の税金がかからないように調整する、なんてことが可能です。
しかし、個人事業主の場合、そうはいきません。
法人が赤字になることはよくありますが、個人が赤字になるというのは、開業当初じゃない限り普通はありません。
また、法人は役員に退職金を払えますが、個人はじぶんに退職金など払えませんから、退職金とぶつけるということもできない。
経費にするのは簡単で節税効果も高いけれども、解約時のことを考えるとどうなんだろう?ということで、わたしはおススメしませんし、じぶんも加入はしません。
なお、倒産防止共済は開業1年目の方は加入できませんのでご注意を。
また、「3. 少額減価償却資産の特例」も気を付けた方がいいです。
30万円未満の消耗品を1回で経費にできる制度で、青色申告者にだけ認められた特典です。
「必要なもの」を前倒しで買うのはOKなんですが、そんなに必要ではないのに買ってしまうとか、もっと検討してから買ってもいいのに慌てて買っちゃうとかってのはNGです。
節税という響きに目がくらんで必要ないものを買ったり、慌てて気に入らないものを買って後悔なんてイヤじゃないですか?
実際に手元からお金はなくなってしまうわけですから、節税という言葉に惑わされず「本当に必要かどうか」で判断することが大切です。
よく考えて、本当に必要であれば惜しみなくお金を使いましょう。
最後に
税理士だからといって、特別な節税術があるわけではありません。
わたし自身が行ったことも、「小規模企業共済」「ふるさと納税」をはじめ、青色申告をする、(家事按分含め)経費を漏れなく計上する、事業に必要なものは我慢せず買う、というように基本的なことばかり。
魔法のような節税術などない、また、稼いだ以上に税金を払うこともない、という点は忘れないようにしましょう。