経理はそんなにリアルタイムじゃないとダメなのか?

クラウド会計を使う人が増えてきました。

クラウド会計のソフト会社はしきりに「リアルタイム」で自社の経営状況が分かるというメリットを主張します。

リアルタイムに自社の財政状況が分かれば、早期に的確な経営判断が可能になると。

確かにそうかもしれませんが、わたしの個人的な考えを言えば、そこまでリアルタイムなんて必要か?と思います。特に小規模であればあるほど。

もちろん、今現在の状態が分かるのが半年後とか決算時だけなんてのはさすがにタイムラグがありすぎて経営判断もへったくれもないので良くないと思いますが、1ヶ月程度後なら全く問題ないと感じます。

例えば10月の数字は11月中に分かればOK、くらいな。

本音を言えば20日頃までがいいとは思いますが、1ヶ月後でも十分。

それを元に的確な経営判断はできます。

「今日時点」のリアルタイムな数字が必要な場面など正直そうそうありません。

売上だけはリアルタイムに知っておきたい

リアルタイムの数字を知りたい場面などそうそうない、とは言いましたが、さすがに売上だけは知っておいた方が良いです。

特に、飲食店などのように日々売上が立つような業種は必須です。

仮に月の売上目標が300万円で半月経過した時点で売上が100万円だった場合、リアルタイムで売上把握ができていれば残りの半月で挽回するための戦略を立てることが可能です。

しかし、リアルタイムではなく翌月や数ヶ月後にしか売上把握できないとなると、「目標値を達成できなかったね」、「前期比マイナスだったね」なんてことが後から分かるだけで終わってしまいます。

さすがにこれはマズい。

売上だけは、リアルタイムで把握するべきです。

そして、把握だけして終わりにするのではなく、それを分析し、必要ならすぐに改善策を考える必要があります。

ただ数字だけ見て「良かった」「悪かった」では、リアルタイムに売上把握している意味はありません。

よく使われるPDCAサイクルにあてはめてみます。

P・・・Plan 計画

D・・・Do 実行

C・・・Check 確認 ← リアルタイムでの売上把握

A・・・Action 改善 ← 即座に対応策を練る

DとCの間は短く、そして、CのあとにAすることを忘れずに!

この2点が重要かと。

売上以外は翌月位に分かっていればOK

売上-経費=利益です。

リアルタイムの売上は知る必要があるけれども、リアルタイムの経費など知る必要はないというのがわたしの考えです。

理由は、「原価」「家賃」「人件費」などの大きな経費は月に1回しか計上されず、その前後で利益が全く変わるから。

「原価」「家賃」「人件費」の計上がされていない途中時点の数字など意味がありません。

また、月次はざっくりでいいという考えがありその点同意しますが、ざっくり度合いが低すぎるのは問題です。

ざっくり度合いが費用科目内の誤り、例えば広告宣伝費とすべきところ誤って消耗品費にしてるとかなら全く問題なしですが、資産・負債科目と費用科目を間違えるのは致命的です。

例えば、源泉所得税の納付。正しくは預り金という負債科目ですが、これを誤って租税公課という費用科目で処理してしまっていたら。

もちろん金額によりけりですが、納期の特例で半年に一度の納付の場合、会社によっては100万円単位の支出です。

この経理処理を誤れば利益予測は100万円狂います。

ざっくり月次の状態でどこまで気付けるか。

経理をある程度知っている方がおこなうリアルタイム経理なら上記のような間違いはしないでしょうが、簿記の知識が無い方のおこなうリアルタイム経理だと起こりうるミスです。

まとめ

売上より先の数値は、翌月中に把握できればOKです。

多くの中小企業にとって、それ以上早いことに意味はありません。

リアルタイムにこだわって、不正確な経理処理をしそれを参考にしてしまうくらいなら、多少遅くても正確な数字を参考にすべきです。

リアルタイムな数字を生かせる場面は少ないし、仮に生かせる場面があるとしてもその数字がデタラメなら全く意味はありません。

ただ、日々の経理をためて1ヶ月分をまとめてやろうとすると大変なのも事実です。(わたしです。)

例えば1日2枚分経費の領収書があったとして、1ヶ月溜まれば60枚。これを一気に入力するとなると大変ですよね。

経理処理の大変さを解消するために日々やる、はいいと思いますが、リアルタイムにこだわるあまり不正確な数字を参考に経営判断してしまうくらいなら、そんなのはやめておいたほうがいいです。

リアルタイム経理に限らずなんですが、一部の人に該当することをじぶんにも該当するもんだと思い違いをしているんでは?と感じることが多々あります。

電子帳簿保存法、インボイスなどです。

不安を駆り立てるようなアナウンスの仕方が多いのでそう勘違いしてしまうのもよく分かりますが。

一度自身の状況を振り返って、あれっ、これって本当にじぶんにとって必要か?周りがやってるからって流されてるだけじゃ?と自問自答してみることをおススメします。