小規模企業共済は個人事業主最強の節税術
≪メニュー≫
■恒川洋子のプロフィール
■税務顧問
■会社設立・起業支援
■スポット相談
■相続税申告
こんにちは、越谷市の税理士、恒川です。
個人事業主がまずすべき節税策と言えば「小規模企業共済」です。
退職金の無い個人事業主としては、老後の資金を積み立てるという意味でも有効。
(というかそもそもそれが本来の目的ですが。)
本日は、小規模企業共済につき解説します。
最大のメリットは掛金が全額所得控除になるところ
小規模企業共済とは、国の機関である中小企業基盤整備機構が運営するもので、小規模企業の経営者や役員、個人事業主などのための退職金制度のこと。
最大のメリットはなんといっても、掛金が全額所得控除になることです。
生命保険料控除のように上限(最大12万円)がなく、払った金額がまるまるひけるので節税効果は高いです。
掛金は月額1,000円~70,000円の範囲内で(500円単位)自由に設定可能。
加入後いつでも変更可能です。
他にも
・受け取るときの税金が優遇されている
・低金利の貸付制度が利用可能
といったメリットもあります。
なお、医療法人や一般社団法人など営利を目的としない法人の役員は対象外であり、さらに常時使用する従業員数は20名以下(一部サービス業では5名以下)という要件もありますので、加入を検討する際には気を付けましょう。
小規模企業共済のメリット
・掛金が全額所得控除になる
・受け取るときの税金が優遇されている
・低金利の貸付制度が利用可能
申込みは窓口かオンラインか
申込み方法は2つです。
①委託団体や金融機関の窓口
②オンライン申請
それぞれについて見ていきます。
委託団体や金融機関の窓口
委託団体とは商工会、商工会議所、青色申告会などです。
これらの団体に加入している方は、まずは組合に確認してみましょう。
税理士協同組合も委託団体のひとつですので、関与税理士がいる方は税理士に相談してみるのも良い方法です。
一方、上記の組合に加入しておらず、顧問税理士もいない方は、口座をお持ちの金融機関で申請が可能です。
なお、対象となっていない金融機関や支店もありますので事前に確認しておくことをおススメします。
窓口で申し出ると申込書をもらえます。
「契約申込書」と「預金口座振替申出書」に提示書類を添えて、委託団体又は金融機関に提出すればOKです。
左側が「契約申込書」で右側が「預金口座振替申出書」です。A3サイズで複写式になっています。
提示書類とは、個人事業主であれば「確定申告書の控え(事業を始めたばかりの場合は開業届の控え)」、法人の役員であれば「履歴事項全部証明書(場合によっては定款も)」です。
なお、例えば税理士協同組合を通じて提出する場合、税理士が加入要件を満たしていることを確認済みであるという前提で提示書類が不要となるケースがあります。
そのため、提示書類については事前に委託団体へ確認するのが無難です。
詳細については、中小企業基盤整備機構のホームページをご確認ください。
申込書の取り寄せは上記ホームページからもできます。
オンライン申請
従来は「委託団体や金融機関の窓口」でしか申込みできなかったんですが、令和5年9月からマイナンバーカードがあれば「オンライン申請」も可能になりました。(共同経営者除く。)
上記サイトからメールアドレスを登録すると、申請手続きのURLが送られてきますのでアクセスします。
マイナンバーカードの読み取り
↓
必要事項入力及び書類アップロード
↓
掛金引落口座の設定
↓
審査
↓
審査結果の通知
という流れです。
気を付けるポイント3つ
加入に際し気を付ける点を3つほど。
小規模企業共済につき気を付けるポイント
・20年未満の任意解約は元本割れのリスク有り
・配偶者の掛金につき所得控除は受けられない
・11月、12月の加入は窓口&振込みで
それぞれについて見ていきます。
20年未満の任意解約は元本割れのリスク有り
共済金等の受け取り方は4パターンあります。
「共済金A」
「共済金B」
「準共済金」
「解約手当金」
この4つのうち「解約手当金」として受ける場合だけは、加入期間が20年未満で元本割れとなるので注意が必要です。
※「解約手当金」は、掛金納付月数が12ヶ月以上84ヶ月未満までは支給率80%、84ヶ月目から6ヶ月単位で支給率が段階的に増加し、240ヶ月以上246ヶ月未満では支給率100%、以降段階的に増加し、最高で120%となる。
なお、廃業や老齢給付など「解約手当金」以外の受取り方であれば6ヶ月ないし12ヶ月以上加入していれば元本割れのリスクはありません。
たまに、どんな受取り方でも20年かけてないと損をする!と誤解してる方がいますがそうではありませんので、安心してください。
配偶者の掛金につき所得控除は受けられない
配偶者の掛金を個人事業主が支払っていた場合でも、その分の所得控除を受けることはできません。
対象となるのは、あくまでじぶん名義の掛金のみです。
生命保険料控除や社会保険料控除、医療費控除などは、負担していれば配偶者の分も所得控除を受けられますが、小規模企業共済はそれらとは異なります。
11月、12月の申込みは窓口&振込みで
小規模企業共済は「払った年」に所得控除が受けられます。
年末ギリギリの申請(具体的には11月以降)で、その年の所得控除を受けたい!という人は、申込みのときに注意が必要です。
掛金は、原則、口座振替です。
そして、最初の口座振替は申し込んだ月の2ヶ月後です。
ということはつまり、11月に申し込んだ場合、初回の引落しは2ヶ月後の1月ということになり、これでは、年内の所得控除に間に合いません。
そこで、初回の掛金を口座振替ではなく振込みにします。
そうすれば、年内の所得控除に間に合います。
具体的には、申込書の⑭~㉔のところで「現金あり」を選択すればOKです。
間違えて左側の「現金なし」を選択すると、初回から口座振替となってしまい年内の所得控除は受けられません。
気を付けましょう。
記載例は次の通りです。
月額7万円、1年分を前払いする場合。
なお、オンライン申請の場合、現金振込みが選択できません。
よって、11月、12月の申込みでその年分の所得控除を受けたい場合には、オンライン申請はNGということです。
必ず、委託団体や金融機関の窓口経由で申し込みましょう。
まとめ
小規模企業共済は、老後資金の準備を第一目的にした制度でありながら、掛金が全額所得控除になるため大きな節税効果もある優れもの。
賢く活用していきましょう。