税の仕組みは簡素であるべきでは?
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こんにちは、越谷市の税理士、恒川です。
先日、越谷市中央市民会館で青色申告者向けの「令和6年分決算説明会」で講師をしてきました。
約50名の方にご参加いただきました。
こういった場で講師をするのは初めてだったのでかなり緊張したんですが、無事終わりホッとしています。
今回、講師をしていて改めて感じたのが、「今の税制って本当に複雑すぎない?」ということ。
このモヤモヤを少しまとめてみました。
税は簡素であるべき
税の三原則ってご存じですか?
・公平の原則
・中立の原則
・簡素の原則
最近、この中の「簡素の原則」がないがしろにされているな、と強く感じます。
定額減税、電子帳簿保存法、インボイス制度、、、
どれもこれも、専門家でさえ分かりにくいものばかり。
「分かりやすくしよう」という気持ちが本当にあるの?と疑いたくなります。
専門家以外で、これらの全体像をきちんと把握できている方なんて、ほとんどいないのではないでしょうか?
わたし自身、税理士として定額減税の仕組みは理解していますが、給付も含めた全体像となるとさすがにお手上げです。
電子帳簿保存法は、「ペーパーレス化を進めましょう」という考えには大賛成です。
ただ、要件が細かく、かつ分かりにくすぎて、個人事業主や小さな会社の場合、対応しきれないのが実情です。
顧問先には「義務化されている電子取引だけはしっかり対応してください」と伝えるのが精一杯で、それ以外の部分は正直なところ説明すら躊躇してしまう。
うまく使えば効率化でき便利になるはずなのに、そう簡単にはいかず、、とってもはがゆい。
インボイス制度も複雑すぎる仕組みですよね。
2割特例や簡易課税制度を活用すれば事務処理はそこまで大変ではないんですが、全体の制度設計が分かりにくいせいで、多くの方が余計な不安を抱いている。
法律をつくる方々には、「簡素の原則」忘れないで!と声を大にして伝えたい。
年末調整もどんどん複雑に
定額減税、電子帳簿保存法、インボイス制度以外で複雑になったものと言えば「年末調整」。
以前は最大2枚だった用紙が、現在では3枚に増加。
追加になった用紙、今年に限っては定額減税も加わり
「給与所得者の基礎控除申告書兼給与所得者の配偶者控除等申告書兼年末調整に係る定額減税のための申告書兼租特金額調整控除申告書」
なんて、冗談としか思えないような長い名称に。
先週発表された令和7年度税制改正大綱によると、19歳以上23歳未満を扶養する際の所得要件を引き上げる「特定親族特別控除(仮称)」なるものが新設される予定とのこと。
配偶者特別控除同様に、控除額は所得が増えるごとに減額される。
ということで、来年の年末調整はさらに複雑になります。
用紙の名前がまた伸びるのか、あるいは、枚数が増えるのか。。。。
ただ、正直なところ、年内の時点で配偶者や子どもの所得を正確に予測するなんて不可能なんですよね。
○円以下かそうでないかくらいは把握できるでしょうが、段階的に控除額が変わる部分については、年末調整できちんとやっている人いないのでは?と思います。
わたし自身、見たことありません。
結局、多くの場合、段階的に控除額が減る部分については、年末調整での対応は不可能で確定申告で対応することになります。
であれば、いっそ用紙をもっとシンプルにして、対応は最初から確定申告に任せる方が合理的ではないでしょうか?
最後に
税制に限らず、どんな制度であっても、もっと簡単で分かりやすくあるべき。
複雑すぎたり、気付きにくい仕組みでは、その恩恵を受けられる人が限られたり、本来の目的を果たせないことがたくさん。
誰にとっても使いやすく、理解しやすい制度が増えること、切に願います。