登記簿の代表者住所、非公表へ?

2023年12月26日、法務省から法人登記の際に代表者の住所を一部非公表とできるようにする省令改正案が発表されました。

個人的には大賛成。

2024年1月25日まで、パブリックコメント(意見公募)を受け付けているようです。

郵送やメールでもOKですが、下記「e-Gov」の「意見提出フォーム」を利用するのが一番早いです。

意見のある方は是非コメントを。

「e-Gov」パブリックコメント

登記簿にはどんな情報が載る?

株式会社の登記簿には

  • 「商号」
  • 「本店の住所」
  • 「目的」
  • 「資本金の額」
  • 「取締役の氏名」
  • 「代表取締役の氏名及び住所」

などが記載されます。

実際の画像はこんな感じ。

「商号」「本店の住所」など会社の基本的な情報が記載されることには何の問題もありませんが、代表者の自宅住所が記載されることについては、現状、多くの反対意見があります。

わたし自身、これまで法人設立のお手伝いをたくさんしてきましたが、自宅住所を公開しなければならない点に抵抗感を示す方は数多くいらっしゃいました。

(蛇足ですが、株主の氏名や住所は登記事項ではないので登記簿には載りません。)

登記簿は誰でも数百円払えば取得可能です。

最近は法務局に出向かずネットでも簡単に取り寄せられるで、登記簿取得のハードルはとっても低いです。

さらに、登記情報提供サービスを利用すれば、登記簿を取得するよりも早くかつ低い金額でネット上で登記事項を確認することが可能です。

こんなに簡単に、かつ、誰でも取得できるものに自宅住所を載せなければならないというのを「こわい」と考える人が多いのもうなずけます。

マンション名と部屋番号は今でも省略可能

自宅がマンションの場合、マンション名や部屋番号を省略して登記することは現時点でも可能です。

例えば「埼玉県越谷市越ヶ谷〇丁目〇番〇号〇〇マンション201号室」の場合、登記は「埼玉県越谷市越ヶ谷〇丁目〇番〇号」まででOKということです。

これまでわたしが法人設立に関わったお客様の多くが上記の通りマンション名以下は省略して登記しています。

やはり自宅住所が公開されるのはできるだけ避けたいと考える方が多いです。

ただ、戸建ての場合は省略できる箇所がないためどうしても自宅の全住所を公開することになってしまいます。

改正後も市区町村までは記載される

本改正案は「代表取締役等の住所につき行政区画以外のものを記載しない措置を講ずるよう申し出ることができる」というもの。

つまり

・自宅住所が登記事項から外れるわけではなく、希望者のみ非公表にできる

・全部が非公表になるわけではなく行政区画(おそらく最小行政区画である市区町村)までは公表される

ということです。

なお、施行時期は2024年6月3日を予定しているとのこと。

私見

個人的には非公表に賛成です。

自宅住所が登記事項となっている一番の理由は、訴訟があった場合の連絡先確保のためと言われています。

訴えたい相手がオフィスを引き払いとんずらしてしまっても自宅住所が分かっていればそちらに訴状を送ることができます。

オフィスを引き払うよりも自宅を引き払う方がハードルが高いので訴訟時に有効との考えがあるようです。

確かに、訴訟時のことを考えれば必要かもしれません。

しかし、あくまで非公表なだけで登記事項であること自体に変わりがないので、別途、訴訟時の救済措置を設ける等の対策は打ちようがあるのではないでしょうか。

今の時代、自宅住所の公表に抵抗感を覚える方は多いです。

わたしもそのひとりです。

わたしは個人事業主なので自宅を公表する必要はありません。

しかし税理士の場合、税理士情報検索サイトに事務所の住所を載せる必要があり、自宅兼事務所としてしまうと必然的に自宅を公開することになってしまいます。

それは避けたい、、、との気持ちもありレンタルオフィスを借りています。(他にも理由はありますが)

プライバシー侵害の恐れ、悪意を持った誰かからの攻撃なんかを考えるとやはり自宅公開はできるだけ避けたいところです。

代表者の自宅住所を公表することによる有用性よりもプライバシー保護、個人情報保護優先でいいと考えています。

よって、個人的には本改正案に大賛成です。