繰延資産って何?会計上と税務上で違う?

繰延資産。

実はこれ、会計上の繰延資産税法固有の繰延資産の2種類があって、範囲も、費用にしていくやり方も、決算書で表示する位置も違います。

本記事では、繰延資産について図解を交えつつ解説します。

繰延資産とは?

繰延資産とは、支払った効果が支出後1年以上に及ぶ費用のこと。

いったん資産として計上し、あとで費用にしていきます。

で、この「繰延資産」、対象になる範囲が会計と税務で違います。

会計上の繰延資産は、創立費・開業費・開発費・株式交付費・社債発行費5種類

いっぽうの税務上の繰延資産は、この5種類に加えて「税法固有のもの」が含まるのです。

たとえば公共的施設・共同的施設の負担金、建物を賃借するために支出する権利金等(よく見るのは礼金)、ノウハウの一時金・頭金、同業者団体等の加入金など。

これらは会計上の繰延資産5種類には入らないんですが、税務上は繰延資産として扱います。

一覧にしたもがこちら。

費用にするやり方と「償却年数」

次に、繰延資産をどう費用にしていくか(償却)です。

ここも会計と税務で扱いが分かれます。

会計上の繰延資産5種類(創立費・開業費・開発費・株式交付費・社債発行費)は、会計上は支出した年に全額を費用にするか、繰延資産に計上して5年・3年などで均等償却するか選択できます。

いっぽう税務上は、この5種類については任意償却です。

任意償却とは、好きなタイミング・好きな金額で償却してよい、ということ。

多くの会社で、赤字の年はあえて償却せず、黒字の年に償却して利益を調整するというやり方をしています。

※本記事は法人を前提としています。個人(所得税)は建付け上、開業費・開発費の原則が60か月均等償却ですが、任意償却も選べて実務上の結論は同じになるため、この記事ではまとめて「任意償却」と言い切っています。

これに対して、税法固有の繰延資産に任意償却はありません。

資産ごとに決められた年数があるのでその年数で均等償却するだけです。

参照:国税庁:繰延資産の償却期間

20万円未満なら、その年に全額経費にできる

なお、税法固有の繰延資産の場合、金額が小さいものを一度に経費にできる特例があります。

支出した金額が20万円未満の繰延資産は、その支出した年度に全額を経費(損金)にできるというもの(法人税法施行令134条)。

たとえば、店舗を借りるときに支払った礼金が18万円だったとします。本来は5年ないし賃借期間で償却しますが、20万円未満なので、その年に全額を経費にできるということです。

貸借対照表のどこに載る? 科目名は?

繰延資産が貸借対照表(B/S)のどこに載るかは、「会計上の繰延資産」か「税法固有の繰延資産」かで変わります。

会計上の繰延資産(創立費・開業費など5種類)は、資産の部の一番下にある「繰延資産」という区分に入ります。

科目名は、創立費、開業費、開発費、株式交付費、社債発行費などそのままが一般的。

いっぽう、礼金や各種の負担金といった税法固有のものは、会計上の「繰延資産」の区分には入らず、固定資産のなかの「投資その他の資産」に入れます。

多くの場合「長期前払費用」という科目で計上します。

つまり、税務上は繰延資産なんですが、決算書上の見た目は「長期前払費用」になる、というわけです。

まとめ

繰延資産、「会計上」と「税法固有」の2種類あるということを忘れないようにしましょう。