青色申告の承認申請書、出し忘れてたらどうする?(法人)
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法人を設立したら一定期間内に税務署に設立届出書を提出します。
その際「青色申告の承認申請書」も一緒に提出するのが一般的です。
ではあるんですが、自力で会社を設立した方や設立だけ専門家に頼んでその後の届出はご自身でやった方の場合、この「青色申告の承認申請書」を出し忘れているという方がたまにいます。
青色申告には「欠損金の繰越控除(10年)」「30万円未満の少額減価償却資産の特例」「特別償却や税額控除」などメリットがたくさんあります。
一方、白色申告のメリットは「簡易帳簿でOK」という一点のみ。
(青色申告は複式簿記が必須。)
今は、会計ソフトを使って処理をするのが一般的で、それを使ってさえいれば自然と複式簿記による帳簿書類ができあがります。
ということは、法人を設立しておいて青色申告を選択しない理由などないということです。
提出期限
青色申告の承認申請書には提出期限があり、第1期目とそれ以降で期限は異なります。
【第1期目】
設立初年度の提出期限は下記2つのうちいずれか早い日です。
①設立の日以後3月を経過した日の前日
②当該事業年度終了の日の前日
例)
設立日 令和5年4月15日
事業年度 4月1日~3月31日
①設立の日以後3月を経過した日の前日は令和5年7月14日
②当該事業年度終了の日の前日は令和6年3月30日
早いのは①なので、令和5年7月14日が提出期限ということです。
第1期目を3ヶ月以下という短期間にする方ってほとんどいないので、①に該当する方が多いです。
なので、青色申告の承認申請書は設立から3ヶ月以内に出す!と覚えておけばOKです。
【第2期目以降】
設立初年度以外の提出期限は「その事業年度開始の日の前日」です。
例)
令和5年4月1日~令和6年3月31日の期(設立初年度以外)から適用を受けたい場合
→その事業年度開始の日の前日である令和5年3月31日が提出期限
第1期だけは期首から3ヶ月以内でOKだったんですが、第2期以降はその期が始まる前までに提出しておかなければいけません。
出し忘れたら事業年度の変更も視野に
災害等により期限の延長が適用できる場合もありますが、そういった特別な事情がない限り提出期限は絶対です。
なので、出し忘れに気付いた期の青色申告の適用はあきらめるしかありません。
これはもうどうしようもありません。
ただ、事業年度を変更しその期を短くしてしまうことで、通常よりも早く青色申告を適用させることは可能です。
具体的にはこんな感じです。
令和5年4月開業 3月末決算
↓
令和6年5月 青色申告の承認申請書を提出していなかったことに気付きすぐ提出
↓
①何もしなければこうなる・・・
第1期 令和5年4月~令和6年3月 白色
第2期 令和6年4月~令和7年3月 白色
第3期 令和7年4月~令和8年3月 青色
②事業年度を変更(3月決算→5月決算)すると・・・
第1期 令和5年4月~令和6年3月 白色
第2期 令和6年4月~令和6年5月 白色 ← 第2期は2ヶ月になる
第3期 令和6年6月~令和7年5月 青色
そのままだと青色申告できるようになるのは令和7年4月からですが、事業年度を変更すると令和6年6月から適用させることができます。
その差10ヶ月。
ほぼ1事業年度に近いですよね。
できるだけ早めに適用させたいという方にとってはこの方法は有効です。
手続きはとっても簡単です。
税務署に青色申告の承認申請書を出すのと同じタイミングで事業年度を変更する旨の異動届出書を提出しましょう。それでOKです。
※なお、事業年度は登記事項ではないため法務局に申請をする必要はありません。
できるだけ早めに青色を適用させたいという方、こんな方法もあるんだよということ知っておいていただければ。
ただ、短期間とはいえ申告書は通常通り作成する必要があります。
税理士に依頼している場合、その分の決算報酬が増えることは想定しておかなければいけません。
まとめ
最近は簡単にじぶんで会社がつくれちゃいます。
起業のハードルが下がることはいいことだと思うし、最初はお金がないのでできるだけ自力で、、、というお気持ちもよく分かります。
でも、結果損をしてしまったらもったいない。
自力でやるならとことん調べる。
そこに時間はさけないなら専門家に投げる。
じぶんに合った方法を選択し前に進んでいきましょう^_^