いやし

〈医療〉時代小説傑作選「いやし」から今後読みたい作品を見つける

〈医療〉時代小説傑作選「いやし」、こちらの作品、現役女性作家の作品のうち、医療をテーマとする時代小説が5つ収められています。

朝井まかてさん、あさのあつこさん、和田はつ子さん、知野みさきさん、宮部みゆきさん。
いずれも超有名な人気作家さんばかり。

5作品のうち、知野みさきさんだけ書き下ろしで、残り4作品はシリーズものの一篇です。

一番好き、あさのあつこさん「闇医者おゑん秘録帖」シリーズ

こちらに収録されているのは、シリーズ第一作目「春の夢」という作品。

呉服問屋の奉公人お春は、奉公先の若旦那と恋仲になり子どもを身ごもるが、堕胎を命じられおゑんの元を訪れ、、、というお話です。

収録されている5作品のうち、一番好きでした。

背中がぞくぞくっとします。

女性の強さ、恐ろしさを感じられる作品。

さわやかさ、おもろしさ(ファニーという意味の)は全然ありません。

印象に残っているのは次の言葉です。

女はいつも苦を背負う。子を孕んでも孕めなくても、産んでも産めなくても背に苦を負うて生きねばならない。

お春の言葉

女の前にはね、存外多くの道が伸びているもんなんですよ。それに気が付かないまま閉ざしてしまうの、ちっと惜しくはないんですかねえ。

おゑんの言葉

嫁いだのに子どもができなければ石女といわれ疎まれ、子どもができてもお春のように疎まれる捨てられることがある。

江戸時代の話ではあるけれど、女性であるがゆえ抱える苦悩は現代でも同じです。

暗い話ではあるけれど、おゑんの言葉、考え方に惹かれます。

あさのあつこさんの作品で他に読んだことがあるのは「弥勒」シリーズ。

暗い過去を持ち、癖がある登場人物を巧みに操るあさのさん。

いずれの作品も暗さがいいんですよね。すごく惹かれます。

歯医者さんが主人公の珍しい作品、和田はつこさん「口中医桂助事件帖」シリーズ

医者をテーマにした時代小説はいくつかありますが、歯医者が主人公とういのは初めてです。

それだけですごく新鮮。江戸時代にも歯医者さんっていたのね、と。

解説によると、当時は歯や口の災いが原因で命を落とす人もいたそう。
(今では想像もつきませんが。)

こちらのシリーズは、主人公である歯医者さん桂助の元に様々な事件が舞い込みそれらを解決していくというお話。

この本に収録されているのは「菊姫様奇譚」というシリーズ中の一篇です。

シリーズものの途中の一篇であるということから、登場人物の関係性がいまいち掴み切れず???なところがありました。

ただ、話の構成がおもしろくテンポもいいので、分からないところがありつつも楽しく読めました。

先ほどの「闇医者おゑん秘録帖」シリーズとは違って暗さはありません。

主人公である歯医者の桂助、桂助に思いを寄せる幼馴染の志保、桂助の親友の鋼次の3人を中心に物語が展開していきます。

どろどろしたもの、暗いもの、大好きなんですが、それだけだとやっぱり疲れちゃうので、こういう爽やかなもの、微笑ましく見ていられるものも必要です。

こちらのシリーズは全16巻で完結していますが、2021年から「新・口中医桂助事件帖」シリーズが始まっているそうです。

まとめ

読み切りもいいですけどシリーズものもいいですよね。

登場人物と一緒に歩んでいる感覚になります。

まずは「闇医者おゑん秘録帖」シリーズ読んでみます。

楽しみが増えました( ´ー`)