国税庁HPに「令和5年分 年末調整のしかた」が掲載されました
≪メニュー≫
■恒川洋子のプロフィール
■税務顧問
■会社設立・起業支援
■スポット相談
■相続税申告
先週、国税庁HPに「令和5年分年末調整のしかた」が掲載されました。
まだまだ暑い日が続いているので「えっ!もうそんな時期?」というのが正直な感想ですが、よくよく考えれば今年もあと3ヶ月ちょっとなんですよね。
あっという間に年末を迎えてしまいそうです。
実際に動き出すのは11月頃の会社が多いでしょうが、スムーズに動き出せるよう準備はしておきましょう。
本記事では、あらためて、年末調整に必要な資料についてのまとめと、昨年までと違う点についてお知らせします。
昨年までと違う点
昨年までと違う点は1点、「非居住者である扶養親族」の範囲が狭まったことです。
具体的には次のようになりました。
【扶養控除の対象となる非居住者である扶養親族の範囲】
・年齢16歳以上30歳未満の人
・年齢70歳以上の人
・年齢30歳以上70歳未満の人のうち、次のいずれかに該当する人
イ 留学により国内に住所及び居所を有しなくなった人
ロ 障害者
ハ 扶養控除の適用を受けようとする所得者からその年において生活費又は教育費に充てあるための支払を38万円以上受けている人
ざっくりいってしまうと、
これまでは16歳以上であれば対象(つまり居住者と同じ)だったんですが、30歳以上70歳未満の非居住者は「留学生」「障害者」「年38万円以上の仕送りがある」のいずれかの要件に該当しない限り扶養親族と認められなくなった、ということです。
なお、非居住者を扶養親族とする場合には、確認書類が必要です。
主なものは、被扶養者が親族であることを確認するための「親族関係書類」と、実際に送金をおこない面倒を見ていることを確認するための「送金関係書類」です。
居住者に比べて確認するものが多く手間がかかります。
該当する従業員がいる場合は、早目のアナウンスを心掛けましょう。
各種申告書(扶養控除等申告書など)
年末調整時に確認する書類(扶養控除等申告書など)は、
細かな欄の修正はあるものの、大きくは昨年と変わりません。
必要なのは下記3種類です。
- 扶養控除等(異動)申告書(全員)
- 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書(全員)
- 保険料控除申告書(保険料控除等がある人のみ)
住宅ローン控除を受ける人(2年目以降)は「住宅借入金等特別控除申告書」が加わります。
扶養控除等(異動)申告書
こちらは全員提出が必要です。
令和5年の年末調整をするのになぜ令和6年の扶養控除等(異動)申告書なの?
という疑問がある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
実は、この扶養控除等(異動)申告書は、「その年の最初に給与の支払を受ける日の前日(中途就職の場場合には、就職後最初の給与の支払を受ける日の前日)まで」に提出する必要があるのです。
つまり、令和5年分の年末調整で使用する「令和5年分扶養控除等(異動)申告書」は昨年の年末調整時(今年入社なら入社時)に提出済みなんです。
で、今回提出してもらう「令和6年分扶養控除等(異動)申告書」は来年用ということです。
こちらに記入された情報によって来年の給与から天引きする所得税が変わります。
基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書
令和5年分基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書 入力用
こちらは
「基礎控除」
「配偶者控除又は配偶者特別控除」
「所得金額調整控除」
を受ける場合に必要な申告書です。
結論から言ってしまえば、基礎控除をうけるため全員提出が必要です。
「基礎控除」というのは、
合計所得金額が2,500万円以下である場合に、その所得者本人の所得金額の合計額から48万円を限度として、所得者の合計所得金額に応じた金額を控除する、というものです。
年収2,000万円を超える人は年末調整対象外であることを考えると、年末調整対象者はほぼ全員必要ということになります。
保険料控除申告書
こちらは、
「生命保険料控除」
「地震保険料控除」
「社会保険料控除」
「小規模企業共済等掛金控除」
を受ける場合に必要な申告書です。
これらの控除を受けない場合には提出不要です。
(おまけ)住宅借入金等特別控除申告書
こちらは住宅ローン控除を受けるために必要なものです。
この申告書は、1年目に確定申告をした際に一括して税務署から送られてきます。
(確定申告の際e-taxによる交付を希望した場合は、毎年10月以降にメッセージボックスで確認できます。)
まとめ
年末調整に必要な資料と昨年までとの変更点についてまとめました。
年々、必要資料が増え、申告書の様式もどんどん複雑になっています。
提出する方も大変ですが、確認する方も大変です。
事前準備をしっかりと行いギリギリになって慌てないようしっかり対応していきましょう。