インボイス対応の請求書・領収書の書き方
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いよいよ10月からインボイス制度が始まりますね。
インボイス登録事業者は、
自社の発行する請求書・領収書がちゃんとインボイス対応できているかどうかを確認しておく必要があります。
ソフトを使っている方は☑ひとつで自動的にインボイス対応の請求書・領収書が作成できるので心配ないかもしれませんが、
Excelや手書きなど自作の請求書・領収書を使っていらっしゃる方は対応が必要です。
本記事では、具体的なインボイス対応の請求書・領収書の書き方につき解説します。
インボイスは2種類
インボイス制度の正式名称は適格請求書等保存方式といいます。
今年の10月以降、買手が仕入税額控除の適用を受けるためには、この方式により作成された請求書等の保存が必須になります。
インボイス対応の請求書等は大きく分けて2種類あります。
「適格請求書」と「適格簡易請求書」です。
大きな違いは、
「適格請求書」には相手の氏名・名称を記載する必要がありますが
「適格簡易請求書」の場合は不要という点です。
原則「適格請求書」なんですが、
飲食店など不特定多数に対して商売をしているような場合には
「適格簡易請求書」が認められています。
(レシートにいちいち名前を記載するなんてことは実質的に不可能ですもんね。)
原則的インボイス「適格請求書」
原則的インボイス「適格請求書」に必要な記載事項は下記6点です。
下線を付けた箇所が、現行の請求書に追加される事項です。
①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額
(税抜き又は税込み)及び適用税率
⑤税率ごとに区分した消費税額等
⑥書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
説明するとなんだか難しそうに感じますが、
①インボイス登録番号を載せる
②8%取引がいくら、10%取引がいくらかを分かるようにする
ということを意識すればOKです。
不特定多数へのインボイス「適格簡易請求書」
飲食店やスーパーなどの場合、すべてのお客様に対して名前入りのレシートを発行するなんてことは実質的に不可能ですよね。
このように、不特定多数の者に対しての請求書・領収書については、相手先の氏名・名称の記載が不要な「適格簡易請求書」が認められています。
具体的には次のような業種の方です。
(消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A 問25適格簡易請求書の交付ができる事業)
- 小売業
- 飲食店業
- 写真業
- 旅行業
- タクシー業
- 駐車場業(不特定かつ多数の者に対するものに限ります。)
- その他これらの事業に準ずる事業で不特定かつ多数の者に資産の譲渡等を行う事業
「適格簡易請求書」に必要な記載事項は下記5点です。
下線を付けた箇所が、現行の請求書に追加される事項です。
①適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
②取引年月日
③取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
④税率ごとに区分して合計した対価の額
(税抜き又は税込み)
⑤税率ごとに区分した消費税額等又は適用税率
※書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称は不要!!
相手先の氏名・名称が不要という点以外は、原則の適格請求書とほぼ同じなので、
①インボイス登録番号を載せる
②8%取引がいくら、10%取引がいくらかを分かるようにする
ということを意識すればOKです。
端数処理は税率ごとに1回だけ
インボイスに記載する消費税額なんですが、その端数処理については決まりがあります。
それは、
税率ごとに区分して合計した金額に対して、10%又は8%をかけて出た金額に対して端数処理をおこなう
ということ。
つまり、ひとつのインボイスにつき端数処理は税率ごとに1回だけ!ということです。
※因みに、「切捨て」「四捨五入」「切上げ」については、どれでもOKです。
具体的な数字を用いて説明します。
(軽減8%商品、切捨て)
×【NGな方法】
トマト 99円 消費税7円(7.92円の切捨て)
ピーマン 149円 消費税11円(11.92円の切捨て)
合計 99円+7円+149円+11円=266円 ×
〇【OKな方法】
トマト99円+ピーマン149円=248円
248円×0.08=19.84円
消費税19円(19.84円の切捨て)
合計 248円+19円=267円 〇
というわけです。
細かーいことではありますが間違えないようにしましょう。
まとめ
賛否両論あるインボイス制度ですが(否が多いようですが、、)、始まることが確定している以上、対応は必要です。
できる限りの準備をし、なんとか乗りっていきましょう。