書類の保管スペースがない方は「スキャナ保存」に挑戦してみよう

本日は電子帳簿保存制度のひとつ「スキャナ保存」についてご説明します。

2023年4月現在、唯一義務化されている「電子取引」についてはこちらの記事をご覧ください。

電子帳簿保存制度は3種類ある

電子帳簿保存制度は「電子帳簿・電子書類」「スキャナ保存」「電子取引」の3種類に分類され、内容が全く異なります。

簡単にまとめた図がこちらです。

図の通りですが、それぞれについて簡単に説明すると、、、

電子帳簿・電子書類
 →(原則、紙保存なんだけど)総勘定元帳・決算関係書類など会計ソフトやPCで作った帳簿書類をそのまま保存していいよ!

スキャナ保存
 →(原則、紙保存なんだけど)紙でやり取りした請求書・領収書などをデータで保存してもいいよ!

電子取引
 →電子でやり取りした請求書・領収書などは電子のまま保存しなきゃダメだよ!

というものです。

「スキャナ保存」はしてもしなくてもいい「任意」規定

本記事においてご紹介するのは、②スキャナ保存についてです。

3つのうち③電子取引だけは義務なんですが、②スキャナ保存と①電子帳簿・電子書類の2つは任意です。

つまり、やりたい人だけやればいい、ということです。

「スキャナ保存」の準備は2つ

国税庁HPをみるとスキャナ保存の要件は下記のように定められています。

電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】 問10参照

多くの方が、「細かすぎて、、、ムリ!」となるんではないでしょうか。(最初、わたしもなりました。)

ただ、下記2つをすれば自然とこの要件は満たすことになりますので、2つだけ覚えてください。

それは、

①一定の解像度のある「スキャナー」or「スマホ」の準備

②「電子帳簿保存法に対応したシステム」導入 ※JIIMA

です。

①については、元々スキャン機能付きの複合機があればそれでOKです。
(よっぽど古い複合機でない限り)

スキャン機能付きの複合機がなかったとしても、紙ベースの領収書がそんなにない方ならスマホがあればOKです。

スキャン機能付きの複合機がない、かつ、紙ベースの領収書も比較的多くスマホですべて取るのは大変、という方はコンパクトなスキャン機器を購入しましょう。
(有名なのはScanSnap。一番安価なものなら25,000円程度で購入可能。)

②については、いったいどのシステムが「電子帳簿保存法に対応したシステム」か分からないと思います。

公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)において、市販のソフトウェア及びソフトウェアサービスを対象に、電子帳簿保存法の要件を満たしているかをチェックし認証しているのでそちらを参考にしましょう。

パッケージ等にこんなマークがついています。

国税庁HPのJIIMA認証情報リスト電帳法スキャナ保存ソフト認証リストから認証された製品リストが確認できます。

なお、JIIMA認証を受けていないシステムは認められない、というわけではありません。

リストに載っていなくても要件を満たしていればもちろんOKです。

(注意)2ヶ月と7営業日以内に入力

スキャナーあるいはスマホを準備し、JIIMA認証システムを導入すれば準備は整います。

あとは運用するだけですが、1点気を付けていただきたいことがあります。

それは、「2ヶ月と7営業日以内にタイムスタンプを押したりクラウドに格納する!」ということです。

スキャナ保存要件のひとつに「入力期間の制限(書類の受領等後又は業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに入力)」というものがあります。

この期間が最長2ヶ月と7営業日なのです。
(通達で、速やかに=7営業日、その業務の処理に係る通常の期間=最長2ヶ月としており合わせて2ヶ月と7営業日、だそうです・・・。だったら初めから2ヶ月と7営業日って書けばいいのに!と思ったり思わなかったり、、。)

2ヶ月と7営業日以内ということは、年末や期末に1年分まとめてスキャンはダメということです。
(見積書・注文書など重要度の低い書類は1年分まとめてでもOKですが、請求書・領収書・契約書などはダメです。)

タイムスタンプの付与やクラウドへの格納は、毎月のルーティンに組み込んでしまいましょう。

悪いことをしたら罰則がある

電磁的記録につき、隠蔽し、又は仮装された事実があった場合には、その事実に関し生じた申告漏れ等に課される重加算税が10%荷重されます。

重加算税とはそもそも仮装・隠蔽が行われた場合に課せられるもので、35%(無申告なら40%)です。

それに+10%されるので、45%(無申告なら50%)になるということです。

えげつない税率ですが、これは「仮装・隠蔽したら」のお話なので、意図的に金額を書き換えるなどの不正をしない限りは適用されません。

一般的な運用をしている限り不安に思う必要はありません。

まとめ

帳簿書類は7年ないし10年の保管義務がありますので、会社によっては相当なスペースを要します。

書類の入った段ボールが多すぎて部屋がひとつつぶれていたり、書類保管用の倉庫を借りていらっしゃるような方もいますよね。

スキャナ保存をし、紙を捨てることができればかなりのゆとりができますし、探し物をするときもラクです。

元々そこまで書類の量が多くないような方は、(任意規定なので)頑張って挑戦する必要はないと思いますが、スペースがなくて困っている!という方は挑戦してみる価値ありだと思います。