税理士って偉そう?

独立後、ご面談させていただくお客様から「以前の税理士がすごく恐かった」とか「上から目線で嫌だった」などとお聞きすることがあります。

わたし自身は(じぶんでいうのもなんですが)穏やかなタイプです。

仕事でもプライベートでも怒鳴るようなことはないし(怒ろうとすると声が震えちゃう((-_-)、上から目線だったり強く言うタイプの人間でもありません。

逆に、控えめすぎるという面もあります。
(これはこれでよくありません。以前ブログでも書きました。「謙遜しすぎるのはやめよう」

税理士が偉そうだったのはひと昔前まで?

税理士に「偉そう」というイメージを抱いている人は結構いるんじゃないでしょうか?

これまでを振り返ったり周りを見渡してみると、確かに偉そうな税理士はいます。

特に若い経営者に対して、上から目線の話し方をしたり、ときには怒鳴ったりされる方が。

そういった方は年配の人が多いです。
(そもそも税理士の平均年齢が60歳以上ということもあり。)

「偉そうな税理士」が存在する理由はいくつか考えられますが、主なものは次の3つかと。

1つ目は、税理士という資格さえあれば自動的に仕事が舞い込んでくる時代があり、偉そうにしていても問題ない(つまりお客様が減らない)ことが多かったからです。

約20年前までは広告や税理士報酬に関する規制があり、税理士は自由な営業活動はできませんでした。

そのため、頑張って営業活動をする必要もなく、価格競争に巻き込まれることもなく、安定していたのです。

つまり、資格を取って看板を掲げておけばお客様が勝手にやってくる、という時代があったんですね。

しかし、平成13年税理士法改正により、それらの規制が撤廃され業界の競争が激化しました。

資格さえあれば・・・の時代は終わりました。

わたし自身は約10年前にこの業界に入ったので、最初から自由競争状態でした。

それゆえ、わたし自身は「税理士という資格さえ取っておけば安泰」という考えは毛頭なく、資格を取って独立しても他の業界と同じように競争はあるよね、という認識です。

2つ目の理由は、税理士業界は社会常識が欠如しがちだから

税理士事務所ってなぜか人を育てるという文化がありません。

今は教育体制の整った事務所も少しづつ増えているとは思いますが、わたしの経験した事務所の場合そういったものはなく、とりあえず自分でやってみて分からないことがあればきく、という体制でした。

ある程度慣れてくればいいんですが、新人の頃は分からないことが分からない状態だったのでなかなり苦労しました。

会計・税務は教えてもらうものではなく自ら勉強するものという意識が根付いてますし、忙しいので教育する時間がない事務所が多い、というのが実情です。

そして、会計・税務についてだけでなくお客様対応だったり社会常識についても教えてもらう機会はほぼありません。

そうすると、一般の会社を通らず税理士事務所経験しかない人は、全てが自己流となり、癖のあるタイプが多くなりがちで、上から目線になってしまう人も出てきます。

3つ目の理由は、「先生」と呼ばれる職業だから。

税理士に限らずですが、「先生」と呼ばれる職業についている方は、自らを尊いものと勘違いして偉そうになりがちです。

難関試験を突破しているのでそれだけでじぶんが特別な存在だと思い込み、それが態度に出てしまっている方というのが一定数いらっしゃいます。

確かに難関試験を突破したことやその分野についてよく知っている点は尊敬できるポイントかもしれませんが、何もその人自体が特別な存在というわけではないんですよね。

「先生」であっても人間的にどうかと思う方もいますし、形容するような呼称がなくてもその道に長けている方はたくさんいます。

個人的には、資格の有無や立場なんて人間性とは比例しないものだから、どんな資格を持っていてもどんな立場であろうとも偉そうにする理由はないだろうに、と思っています。

(つまり、税理士という資格を持っているからって偉そうにするのも違うし、お客様という立場なんだから偉いんだぞ、も違うと思ってます。)

最近の税理士は偉そうな人は少な目

自由競争になってからこの業界に入った若手税理士の場合、偉そうな人、上から目線な人は少ないように感じます。

特に、独立している人、独立志向のある人は、営業しないとお客様はこない、決して殿様商売では続かないという感覚があるので偉そうにはならない(なれない)傾向があるのかと。

最終的には「人」によるので、若くても偉そうな人、ベテランでも謙虚で相談しやすい人はたくさんいますが、傾向として、若手税理士は年配の税理士と比べて偉そうなイメージから解放されより顧客よりな感覚を持っている人が多いです。

また昔は、税や会計に関する専門知識だけあればなんとかなりましたが、今は、コミュニケーション力やデジタルスキルなんかも求められるので、「わたしが先生です!」という人は少なく「税理士はサービス業」ととらえている人が多い気もします。

わたしはどんなタイプの税理士?

偉そうか偉そうじゃないかという視点は一旦わきに置いておいて、わたし自身がどういった税理士を目指しているか?について書きたいと思います。

以前、「税務署寄りの税理士vs納税者寄りの税理士」というブログでも触れているのですが、わたしは、「税理士法1条で定められている独立した公正な立場の税理士でありたいと思っています。

納税者から報酬を頂くので、全面的に納税者の味方でいたいという思いはどこかにあります。

しかし、それは税理士の使命である「独立した公正な立場」を超えるものではないし、納税者の間違った解釈の代弁者となるべきではない、と考えています。

「使える税制は使い、適度な節税は提案するが、過度でグレーな節税はしない。」と決めています。

「グレーなことをしておいて、税務調査時にたたかう。」これを望むお客様もいるかもしれませんが、わたしは、「公正な立場で、納税義務者の信頼にこたえ、納税義務の適正な実現を図りたい」と考えています。

グレーなことをしておいて、大丈夫かな?とドキドキしながら日々過ごしたくありません。

たとえ本人が希望したとしても、納税者にリスクを背負わせることは、税理士はすべきでないというのがわたしの意見です。

ただ、それとは別に「お客様に本業に集中できる環境を提供したい」という思いもあります。

この実現のためには、相談しやすい・聞きやすい税理士であることは大前提です。

偉そうな税理士に相談はしにくいものです。

税理士にこんなこと聞いてもいいかな?怒られないかな?なんて気にしていては、本業に集中なんてできません。

「独立した公正な立場の税理士でありたい」「お客様に本業に集中できる環境を提供したい」という2点を実現させるため、言うべきことは言いつつも相談しやすい(=偉そうじゃない)税理士でありたいと考えています。

もちろん、この想いの実現は言うほど簡単ではありません。。。

意識していないと日々の業務に忙殺され忘れてしまったり、ブレブレになったりします。

だから、このブログを使ってじぶんの気持ちや方向性をことあるごとに確認し、違う方向に行きそうになったらさっと軌道修正し目指す方向に進んでいきたい、そう考えています^_^