紫苑

紫苑さん著「71歳、年金月5万円、あるもので工夫する楽しい節約生活」

とりあえず、表紙が素敵だったので手に取りました。

月5万円で快適に暮らしているのもすごいのですが、まずは見た目の素敵さ(よくみると年相応にシワもちゃんとあるんですが、ファッションがオシャレだからか若々しい。かといって無理してる感もない。)に目がいきました。

この人本当に71歳?このオシャレさはなに?と思いました。

著者の紫苑さんは、71歳、ひとり暮らし、月5万円の年金のみで生活しており、その様子をブログにアップしています。

わたしはこの本を読むまでブログの存在を知らなかったのですが、新聞・テレビ・雑誌などでも紹介され話題になっているようなので、ご存じの方も多いかもしれません。

69歳で初めてお金と向き合う

紫苑さんは、フリーランスの仕事をしつつ母子家庭で二人の子どもを育てられたそうです。

お子様が独立された後は家賃13万円の公団に住んでいたようですが、年齢と共に仕事が減っていき、家賃を払うのがしんどくなり、64歳のとき、貯金をはたいて築40年の中古住宅を購入したとのこと。

その後もしばらくはフリーランスを続けていましたが、コロナにより仕事が激減し、そこで初めてお金と向き合うことに。69歳のときです。

お金を遣わない生活により、不安がなくなった

69歳になって初めてお金と向き合うことになった紫苑さん。

収入は月5万円の年金のみ。蓄えをはたいて住宅を購入したので貯金はほぼなし。節約生活の始まりです。

5万円の内訳は、食費1万円、光熱費1万円、通信費1万円、他2万円。(持ち家なので家賃はゼロ、余ることもあるようです。)

この生活を続けることで、漠然とあった不安がなくなったそうです。

最初は、「この年金の範囲で暮らすしかない、不安・・・。」という捉え方でしたが、段々と「年金の範囲で暮らせるとわかった、安心!」となったとのこと。

結局、不安は錯覚、思い込みだったんです。

紫苑さんは、「不安も錯覚ならお金のあるなしも錯覚のひとつ。同じ錯覚なら、元気という思い込みの方が何倍もいい」とおっしゃっています。激しく同意です!

やっぱり、不安は持たない方がいい、一番持っちゃいけないものだな、とあらためて思いました。

自分軸でライフスタイルを貫き、楽しく過ごす

この本には、写真がたくさん掲載されています。料理、ファッション、お部屋などの写真です。

もう、全部が全部、ものすごーくオシャレ!

紫苑さん、元々オシャレが好きだそうで、洋服だけでなく着物も着こなします。(元々は着物のブログをかかれていたそうです。)

洋服にあまり興味のない(そしてセンスもない)わたしなんかと比べると、100段階くらい上をいってます。

年を取ったら多少はお金をかけないとみすぼらしく見えるのかな~と思っていましたが、全くそんなことはなかったです。

清潔感があれば値段が安かろうがきれいにみえるものです。

紫苑さんのこの生活を、節約生活と捉えず「世間一般の流れに惑わされず、ちゃんと自分軸の考えでライフスタイルを貫き、楽しく過ごしている。」と表したコメントが紹介されていました。

なるほど~と思いました。

紫苑さんが素敵に見えたのは、自分軸があるからか。

現実を受け入れ節約しつつも、大好きなオシャレを満喫している感じが素敵なんだな。

周りの意向ではなく、自分がどうしたいのか(自分軸)を大切にする。結果、楽しくなる。

尊敬するひとり税理士の井ノ上陽一さんも自分軸を大切にされています。

「正しいか正しくないかではなく、自分はどうしたいのか(自分軸)が大事である。周りに流され、自分で決めきれないことはリスクである」と。

なにをするにも、自分軸って本当に大事だなと思います。

(言うほど簡単ではないな、とも思いますが。)

それでも自分の人生をリスクにさらさないため、楽しむため、自分軸を大事に生きていきたいなと思います。

ただ、やはりある程度の老後の準備は必要

紫苑さんが月5万円しか年金がもらえないのは、フリーランスゆえ国民年金しか払っておらず、さらに年金基金や個人年金など+αの準備をしていなかったからです。

一時期は月24万円の家賃のタワーマンションに暮らしていたこともあるようなので、波はあったと思いますが、常にお金に困っていたわけではありせん。稼ぐ力のある方です。

ただ、お金に向き合ってこなかった。

紫苑さんは、月5万円で楽しくオシャレに暮らせることを証明してくれましたが、64歳で一軒家を購入するだけの預金があった、ということを忘れてはいけません。

家計で一番大きな支出は家賃や住宅ローンです。それがない状態を作り出すことができなければ、月5万円生活は成り立ちません。

紫苑さんのように、64歳でぽんと一軒家を買える方は少ないでしょうから、持ち家じゃない方は、月5万円+家賃分の収入は確保する必要があります。

高齢になってからの賃貸は年齢を理由に断られることも多いのでそこも要注意です。(本にも書かれていましたが、わたしも家族の実体験としてかなり苦労したことがあります。)

とはいえ、「必要以上におびえることはない」、「漠然とした不安など持つ必要はない」と教えてくれたこの本には感謝です。

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