飲食店経営、売上と家賃の関係

飲食店経営において重要な費用のひとつに「家賃」があります。

本記事では飲食店経営において家賃をどうとらえるべきか?についてまとめます。

妥当な家賃はいくら?

家賃は売上の10%以下に抑えるのが望ましいとされています。

例えば月の売上300万円の店舗なら
家賃は30万円以内にする、ということです。

これまでの経験から言って、妥当なパーセンテージだと思います。

飲食店経営について目標とすべきは10%の利益確保です。

日本政策金融公庫が今年2023年2月に発表した
「小企業の経営指標調査の飲食店・業種別経営指標」をみると、
黒字かつ自己資本プラス企業平均の売上高経常利益率は
9.8%ですので、まずは、ここを目指したい
ところ。

じゃあ、利益を10%残すにはどうしたらいいのか?

ざっくりとした感覚でいうと、
次のような損益計算書を目指すことです。

FL比率(食材費+人件費)は60%が妥当です。
(FL比率については、こちらの記事
「飲食店経営、とりあえずFL比率だけ覚えよう!」をご参照下さい。)

水道光熱費は業態によりけりですが5~10%はかかります。

広告宣伝費は販促物の作成や広告の掲載費用で、
最低でも3%~5%は見ておいた方がいいでしょう。

そのほか、消耗品・通信費・決済手数料・
減価償却費・支払手数料などで少なくとも
10%程度はかかると想定した場合、
家賃は10%以下におさえないと利益10%は出ない!
という結論に至ります。

家賃から目標売上を算出する

では次に、家賃を売上の10%以内に抑えるためには
具体的にどうしたらいいのでしょうか?

結論からいえば、
家賃×10倍の売上は実現可能か?
可能なら具体的に1日いくら売上ればいいのか?
何人に来てもらえばいいのか?
をシミュレーションし、無理がないかを確認します。

具体的な流れは次の通りです。

この例でいくと、1日40人のお客様は呼べそうなので
家賃×10倍の売上は理論上達成可能です。

しかし、例えば客席20席だとすると
席数20席×回転数2回×稼働率65%=26人

1日26人しか呼べないので家賃×10倍=300万円の売上は達成不可能となります。

この場合、客席数は変わらないので、
客単価を上げる?回転数を上げる?
デリバリーや持ち帰りに力を入れる?
など何かしらの対策を練る必要があります。

まとめ

家賃と売上の関係は大体お分かりいただけましたでしょうか?

売上目標をどう設定したらいいか分からず、
なんとなく・・・で考えていらっしゃる方もいるかと思います。

そんな方は、とりあえず家賃×10倍を目指す、
そして、それが達成可能かどうかを検証する。
をしてみましょう。

理論上可能であったとしても実現は難しいのに、
理論上も不可能なら実現は絶対にできません。

細かすぎない、かといって漠然ともし過ぎない、
普段から意識しやすい程度の根拠のある売上目標が大切です。

多くの方が夢を抱いて飲食店経営を始めますが、
残念ながら、熱い想いだけで経営を維持させることはできません。
(飲食店は、2年で5割、10年で9割が廃業すると言われています。)

利益を残し、何年、何十年と継続できるような
体質づくりをしていきましょう!